インターネット通販(ECサイト)の普及に伴い、多様な決済手段が提供されるようになりました。

その中でも、日本国内で根強い人気を誇るのが「コンビニ決済」です。

クレジットカードを持っていない層や、ネット上でのカード番号入力に抵抗がある層にとって非常に便利な支払い方法ですが、利用者・導入企業の双方にとって無視できないデメリットも存在します。

本記事では、コンビニ決済の仕組みから、具体的なデメリット・メリット、手数料の構造、導入時の注意点までをプロの視点で徹底的に解説します。

コンビニ決済とは?仕組みと主な種類

コンビニ決済とは、ECサイトなどで購入した商品の代金を、全国の主要なコンビニエンスストアの店頭で支払うことができる決済サービスのことです。

この決済方法は、大きく分けて「払込票方式」「番号入力方式(ペーパーレス方式)」の2種類に分類されます。

払込票方式は、商品に同梱された、あるいは別途郵送されてくるバーコード付きのハガキ(払込票)をレジに持参して支払う形式です。

一方、番号入力方式は、注文完了時に発行される「お客様番号」や「確認番号」を、コンビニ店内のマルチメディア端末(LoppiやFamiポートなど)に入力、あるいはレジで提示して支払う形式を指します。

近年ではスマートフォンの普及により、レジでバーコード画面を提示するだけのペーパーレス化が急速に進んでおり、利便性が向上しています。

しかし、その手軽さの裏には、運用上の課題やコスト面での検討事項が隠されています。

利用者(消費者)側から見たコンビニ決済のデメリット

消費者にとって、コンビニ決済は身近な支払い手段ですが、クレジットカードやQRコード決済と比較すると、いくつかの不便な点があります。

支払いのために店舗へ足を運ぶ必要がある

最大のデメリットは、物理的にコンビニエンスストアまで移動しなければならないという点です。

自宅にいながら注文から決済まで完結できる他のオンライン決済に対し、コンビニ決済は一度外出というアクションを挟む必要があります。

悪天候時や深夜、あるいは近くにコンビニがない環境では、このプロセスが大きな心理的・身体的ハードルとなります。

支払期限を過ぎると注文がキャンセルされる

コンビニ決済には、通常「注文から○日以内」という支払期限が設定されています。

この期限を1日でも過ぎてしまうと、発行された支払い番号が無効になり、注文自体が自動的にキャンセルされるケースがほとんどです。

再度購入したい場合は、もう一度最初から注文をやり直さなければならず、二度手間が発生します。

リアルタイムで決済が完了しない

クレジットカード決済の場合、注文確定と同時に決済が承認されますが、コンビニ決済(前払い)の場合は、ユーザーが支払いを完了し、システムにデータが反映されるまで「未入金」の状態が続きます。

そのため、商品の発送は入金確認後になるため、急ぎで商品を受け取りたい場合には不向きな決済手段と言えます。

手数料が発生する場合がある

ショップの設定によりますが、決済手数料(110円~330円程度)をユーザー側が負担するケースがあります。

少額の商品を購入する場合、この手数料が相対的に高く感じられ、購入意欲を削ぐ要因になりかねません。

事業者(ECサイト運営者)側から見たコンビニ決済のデメリット

導入する企業側にとっても、コンビニ決済は管理上のコストやリスクを伴う決済手段です。

未入金による「注文キャンセル」と「在庫の確保」

事業者にとって最も大きなリスクは、注文されたにもかかわらず、支払われずに放置される「未入金キャンセル」です。

コンビニ決済(前払い)では、入金があるまで商品を発送できませんが、その間、在庫は確保しておかなければなりません。

結局支払われなかった場合、その期間中に他の顧客に売れたはずの機会損失が発生します。

特に、在庫数が限られている限定商品や季節商品においては、大きな痛手となります。

運用コストと手数料の負担

コンビニ決済を導入するには、決済代行会社(PSP)との契約が必要です。

導入時には、以下のようなコストが発生するのが一般的です。

コスト項目内容の説明
初期導入費用システム連携やアカウント開設にかかる費用
月額固定費用決済機能を利用するための月額基本料金
決済手数料1件あたりの決済額に応じた、あるいは定額の手数料
取消手数料キャンセル処理が発生した際にかかる費用

クレジットカード決済と異なり、コンビニ決済は「1件あたり○円」という定額制の手数料体系が多く、低単価な商品の場合は利益を圧迫する傾向があります。

返金処理が複雑

注文後のキャンセルや返品が発生した際、コンビニ決済ではレジでの現金返金ができません。

事業者は、顧客の銀行口座を聞き出して振り込むか、送金サービスを利用して返金する必要があります。

これには振込手数料や事務作業の工数が発生するため、クレジットカードのオーソリ取消に比べて非常に煩雑です。

コンビニ決済を導入・利用するメリット

デメリットがある一方で、コンビニ決済が依然として高いシェアを誇るのには、他には代えがたいメリットがあるからです。

利用者側のメリット:現金派と若年層への訴求

クレジットカードを持っていない、あるいはインターネット上でカード情報を入力することに不安を感じる層にとって、現金で支払えるコンビニ決済は最高の安心感を提供します。

  • クレジットカードを持てない中学生・高校生などの若年層
  • オンライン決済のセキュリティを不安視する高齢層
  • 家計管理を現金で行いたいユーザー

これらの層にとって、コンビニ決済は必須の選択肢となります。

また、クレジットカードのように「使いすぎる」心配がない点も、一部のユーザーには支持されています。

事業者側のメリット:カゴ落ちの防止と信頼性

支払い方法の選択肢が少ないことは、離脱(カゴ落ち)の大きな原因になります。

コンビニ決済を導入することで、「カードがないから買えない」という顧客を取りこぼさないようにできます。

また、日本国内において「コンビニで支払える」という事実は、サイトの信頼性を担保する要素にもなります。

大手コンビニチェーンと提携しているという見えない信頼が、新規顧客の購入ハードルを下げる効果を発揮します。

コンビニ決済の手数料の仕組み

コンビニ決済の手数料は、他の決済手段と比較して少し特殊な構造を持っています。

手数料の負担区分

手数料を「ショップ負担」にするか「購入者負担」にするかは、事業者が自由に設定できます。

BtoCの一般的なECサイトでは、顧客満足度を優先してショップ負担にすることが多いですが、チケット販売や受託業務など、利益率が低い商材では購入者負担に設定されることも珍しくありません。

料金体系のモデル

多くの場合、決済代行会社を通じて以下のような単価設定がなされます。

  1. 定額制: 決済金額に関わらず、1件につき150円~300円程度。
  2. 定率制: 決済金額の3.5%~5.0%程度。

通常、コンビニ決済では「3,000円未満なら150円、3,000円以上なら金額の4%」といったように、金額に応じて変動するハイブリッド型の料金プランが採用されることが多いです。

コンビニ決済導入時の注意点

これからコンビニ決済を導入しようと考えている事業者は、以下のポイントを事前に確認しておく必要があります。

決済代行会社の選定

個別のコンビニエンスストアと直接契約するのは、事務手続きが膨大になるため現実的ではありません。

通常はSB Payment ServiceGMO Payment GatewayDGFTなどの決済代行会社(PSP)を経由します。

代行会社によって、対応しているコンビニの種類、入金サイクル、管理画面の使いやすさが異なるため、自社のビジネスモデルに最適な会社を選ぶことが重要です。

支払い期限の設定

前述した通り、支払い期限は短すぎるとユーザーが支払いに間に合わず、長すぎると在庫の確保期間が長くなりリスクとなります。

一般的には3日から7日程度に設定されることが多いですが、商品特性に合わせて調整が必要です。

払込票かペーパーレスか

コストを抑えたいのであれば、ペーパーレス(番号入力方式)一択です。

ハガキを郵送する「払込票方式」は、印刷代や郵送料がかかるため、1件あたりのコストが大幅に跳ね上がります。

現在はスマホ画面提示による決済が主流であるため、基本的にはペーパーレス方式をメインに据えるべきでしょう。

他の決済手段との比較

コンビニ決済を検討する際、他の主要な決済手段と比較してみましょう。

決済手段リアルタイム性主なターゲット未回収リスク手数料負担
クレジットカード高(即時)全世代(カード所有者)加盟店
コンビニ決済低(タイムラグ有)若年層・現金派無(前払の場合)選択可
銀行振込法人・高額注文無(前払の場合)購入者
QRコード決済高(即時)スマホユーザー加盟店

コンビニ決済の最大の特徴は、「オフライン(現金)とオンラインを繋ぐ架け橋」としての役割です。

クレジットカードには及ばないものの、銀行振込よりも手軽で、24時間365日いつでも支払えるという独自のポジションを確立しています。

まとめ

コンビニ決済には、店舗へ行く手間や未入金リスクといったデメリットがある一方で、「現金派の顧客を確実に獲得できる」という強力なメリットがあります。

特に日本市場においては、クレジットカードを持っていない層や、ネット上でのセキュリティを懸念する層が一定数存在するため、コンビニ決済の有無が売上に直結することも少なくありません。

事業者としては、未入金キャンセルによる在庫の停滞をどのように防ぐか、また煩雑な返金対応をどう効率化するかといった課題を、運用フローの工夫や決済代行会社の機能を活用して解決していく必要があります。

導入の際は、初期費用や月額費用だけでなく、自社のターゲット層がどのコンビニを頻繁に利用しているか、どのような入金サイクルがキャッシュフローに最適かを慎重に検討しましょう。

デメリットを正しく理解し、適切な対策を講じることで、コンビニ決済はECサイトの成長を支える強力な武器となるはずです。