「ディーゼル車はやめとけ」と聞くと、故障しやすい車や維持費の高い車を想像するかもしれません。
実際には、ディーゼル車には特有の注意点がある一方、走り方や使い方が合えば、力強い走行性能や燃費のよさを生かせる車です。
後悔を防ぐには、評判だけで判断せず、デメリットが自分の使い方に当てはまるかを確かめることが大切です。
「ディーゼル車はやめとけ」と言われる理由
短距離走行が多いとDPFに負担がかかる
ディーゼル車を検討するときに、まず知っておきたいのがDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)です。
DPFは排気ガスに含まれるすすを捕集し、一定の条件が整うと高温で燃焼させて除去します。
このすすを燃やす処理は「DPF再生」と呼ばれ、車種によっては走行中に自動で行われます。
しかし、短距離走行や低速走行ばかりでエンジンが十分に温まらない場合、再生が完了しにくくなることがあります。
再生が中断される状態が続くと、警告灯が点灯したり、点検や修理が必要になったりする可能性があります。
近所への買い物や送迎が中心で、まとまった距離を走る機会がほとんどない人は、購入前に使い方との相性を慎重に確認しましょう。
ただし、短距離走行を一度しただけですぐに故障するわけではなく、再生の仕組みや必要な運転条件は車種によって異なります。
修理や部品交換に費用がかかる場合がある
ディーゼル車には、DPFのほか、排気ガスを浄化する装置や高圧燃料噴射装置など、車種によって複数の専用部品が搭載されています。
これらの部品に不具合が起きた場合、故障箇所や車種によっては修理費が大きくなることがあります。
一方で、ディーゼル車だから必ず頻繁に故障する、あるいは修理費が必ず高くなるとは言い切れません。
故障の可能性や費用は、車両の設計、走行距離、整備履歴、使用環境によって変わります。
中古車を選ぶ場合は、車両価格だけでなく、保証の範囲や整備記録、故障時の修理体制も確かめてください。
エンジン音や振動が気になることがある
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べてエンジン音や振動が大きく感じられる車種があります。
とくに冷間時やアイドリング中、車外にいるときに音が気になる場合があります。
近年の車種では静粛性が向上していますが、感じ方には個人差があり、車種や年式による違いもあります。
カタログや口コミだけで判断せず、購入候補の車を試乗して、発進時や低速走行時の音、振動を確認しましょう。
車両価格がガソリン車より高い場合がある
同じ車種のガソリン車と比べて、ディーゼル車の車両価格が高く設定されていることがあります。
価格差を燃料代の差で取り戻せるかどうかは、年間走行距離や燃料価格、車両価格の差によって異なります。
走行距離が少ない場合は、燃料代の節約額が購入時の価格差を埋められず、結果として割高になることもあります。
購入時には、車両価格だけでなく、数年間の燃料代や税金、点検・整備費用も含めて比較するのがおすすめです。
燃料価格の差は一定ではない
軽油はガソリンより安い時期が多いものの、価格差は地域や時期によって変わります。
そのため、「ディーゼル車なら燃料代が必ず大きく安くなる」とは限りません。
また、燃費性能も車種やグレード、走行環境、運転方法によって変化します。
年間走行距離が短い人ほど、燃費や燃料価格の差だけでディーゼル車の優位性を判断しにくくなります。
車種によっては尿素水の補充が必要
一部のディーゼル車は、排気ガスを浄化するために尿素水(AdBlueなど)を使用します。
尿素水の補充頻度やタンク容量、補充方法は車種によって異なり、維持費や手間も一律ではありません。
残量が少なくなると警告が表示され、車種によっては規定の対応をするまで再始動できなくなる場合があります。
購入前に、尿素水が必要な車種か、補充費用や補充場所を含めて確認しておきましょう。
ディーゼル車が向いていない人の特徴
近距離の移動がほとんどの人
毎日の移動が片道数分程度の通勤や、近所への買い物に限られている人は、ディーゼル車の特性を生かしにくい可能性があります。
短距離走行が中心だと、エンジンや排気系が十分に温まらず、DPF再生が完了しにくくなる場合があるためです。
ただし、何分・何キロ走れば問題ないかは車種や気温、交通状況などで変わるため、一律の距離を目安にするのは適切ではありません。
普段の走行環境を販売店に伝え、メーカーが示す取扱説明書の注意事項や使用条件を確認してください。
渋滞の多い市街地だけを走る人
渋滞や信号の多い道を低速で走る時間が長い場合も、ディーゼル車の燃費や走行性能を十分に生かせないことがあります。
そのような使い方では、車種によってDPF再生が中断されやすくなることも考えられます。
一方で、市街地走行が含まれるだけでディーゼル車が不向きと決まるわけではありません。
週末に高速道路や郊外を走るか、年間を通してどの程度の距離を走るかも含めて検討しましょう。
静かさや滑らかな加速を重視する人
エンジン音や振動に敏感な人は、ディーゼル車の音質やアイドリング時の振動が気になることがあります。
静粛性を重視するなら、同じ車種のガソリン車やハイブリッド車とも乗り比べてみてください。
車内では静かに感じても、車外では音が大きく感じられることがあるため、試乗時には複数の場面で確かめると安心です。
車両価格の差を回収できるほど走らない人
年間走行距離が短い人は、燃費のよさや軽油の価格差による節約額が小さくなりやすい傾向があります。
購入価格の差を燃料代で回収するには、一定以上の走行距離が必要になる場合があります。
ただし、何年で元が取れるかは車両価格、実燃費、燃料価格、売却価格によって異なります。
購入候補の具体的な価格と、自分の年間走行距離を使って試算することが重要です。
整備履歴のわからない中古車を安さだけで選ぶ人
中古ディーゼル車は、前の所有者がどのような距離や環境で使っていたかによって、車両の状態が異なります。
整備記録が確認できない車や、警告灯の履歴、排気系の整備状況が不明な車は、購入後に思わぬ費用が発生するリスクがあります。
価格の安さだけで決めず、第三者機関による車両検査や販売店の保証、点検記録を確認しましょう。
ディーゼル車のメリットも知っておこう
低回転から力強く加速しやすい
ディーゼル車は、低い回転数から大きなトルクを発生するエンジンが多く、発進時や坂道で力強さを感じやすい特徴があります。
車種によっては、高速道路の合流や追い越し、荷物を積んだ状態での走行に余裕を感じられるでしょう。
ただし、加速感は車重や変速機、エンジンの設定によって異なるため、購入候補を実際に試乗して確かめる必要があります。
長距離走行で燃料代を抑えやすい場合がある
ディーゼル車は、車種によって燃費性能に優れており、長距離を走る人は燃料代を抑えられる可能性があります。
高速道路や郊外を定期的に走る使い方なら、車種によってはディーゼルエンジンの特性を生かしやすくなります。
ただし、燃費はカタログ値だけでなく実際の走行環境を踏まえて見積もることが大切です。
車種によってはけん引や積載に適している
大きなトルクを生かせるディーゼル車は、SUVや商用車など、荷物を載せたりけん引したりする用途に適した車種があります。
ただし、けん引できる重量や積載量は車両ごとに定められているため、用途に合う性能かどうかを必ず確認してください。
車の能力を超えた積載やけん引は危険であり、車両や部品への負担にもつながります。
ディーゼル車とガソリン車の違い
ディーゼル車とガソリン車のどちらが得かは、購入価格だけでは決まりません。
日々の走行距離やルート、車両価格、整備費用、売却時の価値などを合わせて比較する必要があります。
| 比較項目 | ディーゼル車 | ガソリン車 |
|---|---|---|
| 燃料 | 軽油を使用します。 | レギュラーまたはハイオクを使用します。 |
| 走行特性 | 低回転から力強さを感じやすい車種があります。 | 静かで滑らかな加速を得意とする車種があります。 |
| 短距離走行 | DPF再生など、車種ごとの注意点を確認する必要があります。 | ディーゼル車特有のDPFに関する注意はありません。 |
| 車両価格 | ガソリン車より高い場合があります。 | 同じ車種では比較的安い場合があります。 |
| 維持費 | 燃料代や専用部品を含めて総額で判断します。 | 燃料代や整備費を車種ごとに比較します。 |
表の内容は一般的な傾向であり、すべての車種に当てはまるわけではありません。
同じ車種でも、グレードや年式によって燃費、装備、必要な整備が異なる場合があります。
ディーゼル車の維持費を考えるポイント
燃料代は年間走行距離をもとに計算する
燃料代を比べるときは、燃料価格だけでなく、年間走行距離と実燃費を使って試算しましょう。
おおまかな計算式は「年間走行距離÷実燃費×燃料価格」です。
たとえば年間1万キロ走る場合でも、実燃費や地域の燃料価格によって結果は変わります。
購入候補の実燃費は、同じ車種・年式のユーザー情報だけに頼らず、試乗や販売店への確認も組み合わせて判断してください。
ガソリン車との比較では、燃料代の差だけでなく車両価格の差も考慮する必要があります。
点検・整備費用は車種と状態で変わる
ディーゼル車の整備費用は、車種、年式、走行距離、使用環境、整備工場によって異なります。
オイルやフィルターなどの定期交換部品に加え、排気ガス浄化装置や燃料系の点検・整備が必要になる場合があります。
整備内容や交換時期は車種ごとに違うため、メーカーのメンテナンスノートや取扱説明書を確認しましょう。
見積もりを取る際は、定期点検だけでなく、車検費用や消耗品、保証対象外となる修理の可能性も確認しておくと安心です。
税金や補助制度は購入時点の条件を確認する
自動車にかかる税金や優遇措置は、車種、燃費性能、初度登録時期、制度の改正などによって変わります。
「ディーゼルだから税金が安い」と決めつけず、購入する車両の見積書や公的機関の最新情報を確認してください。
補助金や優遇制度を利用できるかどうかも、車両や購入時期などの条件によって異なります。
ディーゼル車を購入する前に確認したいこと
自分の走行パターンを整理する
まず、通勤や買い物、休日の外出で、どのくらいの距離を走るのかを整理しましょう。
短距離走行が中心なのか、定期的に高速道路や郊外を走るのかによって、ディーゼル車との相性は変わります。
年間走行距離だけでなく、1回あたりの走行時間や渋滞の頻度も判断材料になります。
取扱説明書でDPF再生の注意事項を読む
DPF再生の条件や警告灯が点灯したときの対応は、車種ごとに異なります。
購入前に取扱説明書を確認し、再生中の表示や必要な対応、販売店への相談が必要となる状況を把握しておきましょう。
警告灯が点灯した場合は、自己判断で放置せず、取扱説明書に従って販売店や整備工場に相談してください。
中古車は整備記録と保証内容を確かめる
中古車では、定期点検や部品交換の履歴が記録されているかを確認してください。
DPFや排気系、燃料系に関する整備歴がある場合は、実施時期や作業内容も確かめると状態を判断しやすくなります。
保証については、対象部品、保証期間、走行距離の上限、免責条件を契約前に確認しましょう。
試乗では、冷間時の始動音、アイドリングの振動、加速時の異音、警告灯の有無なども販売店と一緒に確認してください。
使用地域の規制や駐車環境を確認する
排出ガスに関する規制や制度は、車種や地域、車両の登録状況によって扱いが異なります。
一部の地域では、特定の車両に走行や登録の条件が設けられていることがあるため、購入予定の車が対象となるかを自治体や販売店に確認してください。
マンションの駐車場や住宅地では、始動時の音や振動が気にならないかも確認しておくとよいでしょう。
「ディーゼル車はやめとけ」は本当なのか
ディーゼル車を一律に「やめたほうがいい」とするのは適切ではありません。
長距離走行が多く、力強い走りや積載性を重視する人にとっては、魅力を感じられる選択肢です。
一方で、短距離の移動が中心の人や、静粛性を最優先する人、車両価格の差を回収できるほど走らない人は、ガソリン車やハイブリッド車のほうが合う可能性があります。
つまり、ディーゼル車の評価は「車そのものの良し悪し」だけでなく、「使い方との相性」で変わります。
購入を決める前に、走行パターン、車両価格、燃料代、整備費、保証内容を一緒に比べることが後悔を防ぐポイントです。
まとめ
ディーゼル車が「やめとけ」と言われる主な理由は、短距離走行によるDPFへの影響、専用部品の修理費、エンジン音や振動、車両価格などです。
これらはすべての車種や利用者に当てはまるわけではなく、走行環境や車両の状態によってリスクや費用は変わります。
長距離を走る機会が多く、力強い走りを求める人には、ディーゼル車が有力な選択肢になることがあります。
反対に、近距離走行が中心で、静かさや購入価格を重視する人は、ほかのパワートレインも含めて比較するのがおすすめです。
口コミの「やめとけ」だけで判断せず、購入候補の取扱説明書や整備履歴を確認し、実際に試乗して自分の使い方に合うかを見極めましょう。
